究極にシンプルな焼き物「備前焼」とは

2022.11.16

釉薬を一切使用せず、絵付けもしない究極にシンプルな焼き物「備前焼」の魅力に迫ります。

 

「備前焼」とは?

岡山県備前市周辺を産地とする炻器。日本六古窯の一つです。備前市伊部地区で盛んであることから「伊部焼(いんべやき)」との別名もあります。

備前焼は、良質の陶土で一点づつ成形し、乾燥させたあと、絵付けもせず釉薬も使わずそのまま焼きます。
そのため土の味がよく表れる焼き物であり、そのため形だけでなく焼き味も一点として同じものは生まれません。

非常に頑丈であることから、「第二次世界大戦時の金属不足の際には備前焼による手榴弾が試作されたこともあるが、実戦投入はされなかった。」…なんて話もあります。

どこでいつ生まれた?

古墳時代から平安時代にかけて生産されていた須恵器(すえき)が現在の備前焼に発展したといわれています。
八世紀ころに備前市佐山に窯が築かれ始め十二世紀になると伊部地区に窯が本格的に築かれ始め独自の発展へと進んでいったそうです。

備前焼の特徴とは?

釉薬を一切使わない焼成によって堅く締められた赤みの強い味わいや、「窯変」によって生み出される同じものがないひとつとない模様が特徴。「使い込むほどに味が出る」と言われ、派手さはないが飽きがこないのが特徴です。

高温で約2週間焼き締めるので「投げても割れない」と言われるほど堅くなります。その特徴から、すり鉢や、大きなカメ、壷などが多く作られていました。
また、微細な気孔があり通気性に優れているため、切花が長持ちする花びんや、微細な凹凸により、きめ細かな泡ができることからビールグラスとしても扱われています。

どんな風に使われている?

現在は伝統的な作風と、作家性の高い個性豊かな作品が数多く作られている。ほかにも、備前焼の特徴を活かしたビールグラスや花瓶など、時代ごとのライフスタイルに合わせた作品も生まれている。

お手入れ方法は?

表面のザラザラや微細な凹凸は、使い込んでいくことでだんだんと丸みを帯び始め、次第に角が消えていきます。
たくさん使い込むことで落ち着いた風合いが増してきます。

備前焼 細川敬弘/自然練込 13.5cm 小皿 備前焼 細川敬弘/自然練込 13.5cm 小皿

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